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2024年5月18日土曜日 NHK総合 22時~【土曜ドラマ】パーセント(2)「まなざし」です。

前回、ドキュメンタリー畑出身の新任編成部長長谷部(水野美紀)に吉澤未来(伊藤万理華)は「この企画内容ではダメ、プレゼンを延期したので内容を考え直して」「障害のある俳優達にそんなペラペラな物語を貼り付けるのは失礼です」と言われてしまいました。

吉澤は、劇団「S」に何度も行って俳優さん達の障害の現実を目の当たりにします。しかし、同居する恋人町田龍太郎(岡山天音)からも「障害者が頑張っているコトに感動いているダケ」と言われてしまいます。

ドラマ班のチーフプロデューサー 植草秀樹(山中崇)には交通事故で障害者になった姪がいて、彼はリアルに障害者との共生の困難さに直面しているのです。

吉澤は高校から下校する宮島ハル(和合由依)に会いに行き、自宅までついてゆきます。

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相変わらず吉澤は、何も考えていないし、「会話で感情の行き違いを避ける」という社会人にとって基本的な想像力がカケラも働きません。

しかし、こんな酷いレベルでは、ふつうはマスメディアに就職できませんけどね。(笑)

ハルちゃん、会話を慇懃にすれば極めてプロデューサー的な大人です。むしろ主人公の吉澤は、高校生以下のレベル。これがこのドラマ最大の瑕疵かもしれません。・・・というか狙い?(笑) 

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でもハルに誘われて劇団の稽古に行きます。強気で怜悧、表面的には極めて生意気なハルですが、彼女もまたドラマ出演に対してマジに悩んでいるのです。

吉澤は、稽古の後劇団員と食事に行き、酔っぱらって恋人の愚痴をこぼします。

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悩んだ吉澤は、学生時代の自主映画で脚本賞をとった恋人龍ちゃんに助けてもらいます。劇団の稽古を観ながら二人は、ドラマのスキーム自体を劇的に変換してゆきます。

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「多様性月間プロジェクトの委員会」プレゼン。 緊張する吉澤・・・。

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長谷部の助け船でドラマは製作できそうです。しかし長谷部は吉澤に「まだ完全ではない」と釘を刺します。 

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ところで、

NHK Eテレ 5月19日午前0:00からの「バリバラ ドラマ「パーセント」の前代未聞!」を見ましたか? 

「障害のある俳優とドラマを作りたい」とこのドラマを企画したプロデューサー南野彩子さんが番組に登場。

前代未聞①募集条件が「俳優として活動している、障害や持病のある方」。

前代未聞②書類審査は無し、応募してきた100人全員に会って個別オーディション。

ドラマでは劇団「S」団員の視覚障害者の中川圭永子(視覚障害のある盲学校の国語教師三橋典子役)さん、高次脳機能障害(左上肢機能全廃 左下肢機能全廃)の元DJ鹿糠チタンヘッド武弘さん、聴覚障害の高校生河上由里子役の水口ミライさんの3人が番組に出演。

ドラマの現場では「障害に合わせた人物設定」で問題が発生します。

聴覚障害者の水口ミライさんは、オーディションの時「家族とコミュニケーションする時の様に」との指示で「手話+音声」で演技しました。

しかし、ドラマの俳優陣が揃っての読み合わせで水口さんは「私は家族以外とは手話でしかコミュニケーションしないのでドラマの中でも手話だけにして欲しい」と提案。その結果、ドラマの劇中にも手話通訳者が登場するコトになります。

前代未聞③新時代の現場のあり方 出演者のニーズに合わせ「スロープ」「昇降機」「多目的トイレ」が現場に用意され「物理的バリア」を解消しました。

しかし、現場には様々な問題が起こります。

中川圭永子さんは20代から劇団に所属し俳優歴は40年。しかし35歳の時、病気で失明。今回のドラマの劇団「S」公演、舞台上で彼女がセリフを言うシーンがあります。

しかし撮影本番で彼女には劇場(観客席)の大きさが見えません、どの程度の声量で発声して良いか分からず悩んだのです。意を決してスタッフに相談、スタッフが実際に観客性の最後端まで行き声を発したコトで中川さんは劇場空間を把握できました。そして納得してセリフを発声したのです。

これらの「前代未聞」を「当たり前にするには?

最後にプロデューサーの南野彩子さんは「1回やってみたことが何よりも大事でした」「スタッフはまた劇団「S」と作品が創りたいと言っています」と笑顔。

ドラマ本編はもちろん、この「バリバラ ドラマ「パーセント」の前代未聞!」もNHKプラスの見逃し配信で見る価値、メッチャありますよ!

※NHKプラスでの視聴は放送後一週間です、それ以降はNHKオンデマンドでご覧ください

次回のドラマ、展開がまたまた楽しみです。

文:鉄道チャンネル住田至朗

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