摂政兼家を次いだ長男道隆の専制は 過酷か

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NHK総合「光る君へ」 4月7日(日)20時放送 第14回「星落ちてなお」見たでしょ?

以下、ネタバレ満載です。まだ本編をご覧になっていない方は「NHKプラス」または「NHKオンデマンド」でご覧あれかし。

天皇の祖父となり権力を手中にした藤原兼家(段田安則)は、後継者を長男道隆(井浦新)とし出家。次男道兼(玉置玲央)は花山院退位の実行役だった自分が後継でないことに激怒します。しかし父兼家は「人殺しは汚れ役」と切り捨てました。

幼いまひろの目の前で母親を、一時の怒気に乗じて刺し殺したのは、道兼でした。

「蜻蛉日記」の作者藤原寧子(財前直見)は、死に瀕する兼家に息子道綱(上地雄輔)の出世をかき口説きます。が兼家が口にしたのは・・・・。

「蜻蛉日記」をちゃんと読みたくなりました。

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関白藤原兼家は、月を観ながら静かに世を去りました。

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一方、まひろ(吉高由里子)の父為時(岸谷五朗)は、兼家の死を聞き、何故か落涙したのです。権謀術数と無縁の学者人生を送る為時にも、権力闘争の過酷さは分かっているのでしょう。

父の喪にも服さず酒に溺れる道兼に、その妻は三行半を突きつけ、娘を連れて去ってしまいます。

また、兼家を呪詛した道長(柄本佑)の妻源明子(瀧内公美)は、道長の子を流産してしまいます。これは因果応報の図でしょうか。

摂政を次いだ道隆は、眉目秀麗、武芸文芸にも秀でる17歳の長男伊周(三浦翔平)をイキナリ蔵人の頭に据えます。これに藤原実資(秋山竜次)は、またもや、不満たらたら。新しい奥方にも日記に書けと言われて・・・。

一方で伊周の婿入り(嫁選び)の為、道隆は姫君を集めて和歌の会を催します。

まひろとききょう(清少納言/ファーストサマーウイカ)は、和歌の会の進行役として呼ばれました。

その後、ききょうは、まひろの家を訪ねてきます。ききょうは、夫・息子を捨て、宮中に出仕し自分の志を叶えたいと宣言します。

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まひろは、自分の志として貧しい下人の子供に字を教えますが、その親に「一生畑を耕して終える人生に字は不要」と言われてしまうのです。

先週書いた様に、この時代の識字率は極端に低く、まひろやききょうクラスの教養人は貴族社会でも極めて希だったはずです。特に女性においては、正に「紫式部」と「清少納言」が極めて例外的でした。それ故、その名と作品が現代にも伝わっているのです。

道長は、無意味に殺された散楽師直秀の無惨を思い、摂政である兄道隆に検非違使の非道を正す様に申し入れますが「下々の事は下々に任せておけばよい」と無視されます。

そして道隆は、自分の娘定子(高畑充希)を中宮にしてしまうのです。

道隆の専横・独裁が開始されたのです。

道長がまひろに約束した正しい政(まつりごと)は、道長が権力の座に着くことで成就するというストーリーなのでしょうか・・・。

何とも過酷な貴族社会の実態が垣間見えて、優美な平安絵巻とは違う世界が展開しています。

文:鉄道チャンネル 住田至朗

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