光る君へ 第11回 まどう心

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2024年3月17日(日)20時 NHK総合で放映されました。

右大臣家の陰謀が成功、花山天皇の蔵人を解雇となり失意のうちに帰宅した父藤原為時(岸谷五朗)をまひろ(吉高由里子)と大学寮から急ぎ戻った弟惟規(高杉真宙)が迎えます。 

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為時は花山天皇が東宮時代に漢文の指南役をしていて即位後も蔵人として花山帝の信頼を得ました。

為時は右大臣から花山帝の身辺・動向をスパイする様に命じられていたのでしたが、天皇の信頼を裏切っていることに生真面目な為時は苦しみ、右大臣兼家にスパイを止めさせて欲しいと直訴し、許されます。

言い換えれば兼家と自分から縁を切ったワケです。しかし右大臣は娘詮子(吉田羊)の生んだ懐仁親王が東宮になっていたことで花山帝の情報はもはや重要ではなかったのです。

まひろは左大臣家の倫子(黒木華)に父為時の就職を頼みに行きますが摂政になった右大臣の権力には誰にも抗えないと言われます。

思い余ってまひろは摂政右大臣兼家(段田安則)に直訴しますが、兼家の下令を自ら断った為時に二度と官職は与えないと言われます。

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一条天皇が即位します、先帝花山院は恨みを持って必死に呪詛しますが。

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即位の朝、高御座に子供の生首が置かれていて大騒動になります。これが花山院の仕業か否かは分かりませんが、道長は内匠司(たくみのつかさ)を叱りつけ無事に即位式が執行されます。 

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無事一条天皇の外戚として摂政となった右大臣、長男道隆が安倍晴明に息子伊周(これちか/三浦翔平)ら家族を紹介。宴を開きます。

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若き伊周は、和歌、漢詩、笛、弓などあらゆる分野に秀でていてしかも眉目秀麗(イケメン)。この伊周が、成長し道隆亡き後、道長最大の政敵となります。この時にも花山院がまたお騒がせ役で登場することは先週書きました。(笑)

左大臣家の姫君たちの集い、まひろは倫子(黒木華)から思い人がいることを聞きます。道長が招来右大臣家に婿入りすることになるコトをまひろは知りません。というか道長本人も知りません。

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父が無職となり使用人たちがいなくなった屋敷でまひろは掃除・洗濯・庭仕事に励みます。

道長に呼び出されたまひろは道長に「妾(しょう)になってくれ」と頼まれます。しかしまひろは「北の方(正夫人)になれなければ嫌」と拒否。怒った道長は去っていきました。

この時代、下級貴族であるまひろの父ですら妾がいたのです。そりゃ、最上位貴族で後に摂政・太政大臣になる道長の正夫人は、下級貴族の娘まひろでは100%無理です。 

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なにしろ婿は正室の実家に居住して、実家の助力で宮廷での地位を上げていくのが定式だったのです。右大臣家の息子が使用人のいない貧乏な下級貴族の婿になれるワケがないのです。

つまり和歌に詠まれた様な恋愛は、基本的に婚外アフェアだったのです。

まぁ、源氏物語の光源氏の恋愛自由自在ぶりには、あまりの奔放さに、全く道徳的ではない筆者ですら若干の疲労感を感じてしまうほどです。言葉は悪いですが欲情即ち恋情とでも言う様な。(笑)

いずれにしても源氏物語から私たちは1,000年という気の遠くなる様な時間を隔てています。

光源氏の恋愛自由自在は、タイパ(Time Performance)最上の価値観に何だか近い感じもします。

これも和歌や漢詩の「悠久を良しとする価値観」への紫式部流の嘲弄かもしれませんね。

さてさてまひろは、知性を武器にどの様に生きていくのでしょうか。

文:鉄道チャンネル住田至朗

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