いよいよ歴史的な陰謀 月明かりの深夜 右大臣家の面々が暗躍します

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3月10日(日)20時 NHK総合で見ました。

史実としても残る大事件ですが、ドラマでは陰謀の発案者である安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は、右大臣藤原兼家(段田安則)に寛和二年(986年)6月23日丑(うし)の刻から寅(とら)の刻、つまり午前1時頃から午前5時頃までの時間に陰謀を決行しなければ成功は無く、右大臣に禍(わざわい)が降りかかると断言します。

この陰陽師安倍晴明、実は死後100年以上経ってから『今昔物語』に陰陽師としての異能がクローズアップされたことで、後世妖しげな術を操る魔人として多くのフィクションに取り上げられる様になったのです。ドラマでもかなり妖しい役ですが。(笑)

その夜、右大臣兼家は、長男道隆(井浦新)、次男道兼(玉置玲央)道長(柄本佑)と外腹の子道綱(上地雄輔)を集め花山天皇(本郷奏多)を密かに内裏から連れだし出家させるという陰謀を打ち明けます。そして息子たちに役割を振り分けました。

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道兼は、花山天皇に自分も共に出家すると言い、23日が日の巡りが良いと出家を決心させます。

道長は、父右大臣から陰謀が失敗した時は、道長だけが生き延びる役割を告げられます。

まひろは妾宅から戻らない父為時(岸谷五朗)を訪ねます。為時は、貧しく身寄りのない病人の妾を看病していたのです。

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まひろの元に道長から熱烈なラブレター(古今和歌集の和歌)が届きます。それも二度。まひろは二度とも漢詩で返事。

想定外の反応に道長は、後輩で書の達人藤原行成(渡辺大知)に相談します。行成は「漢詩は、志(こころざし)を言葉に表すもの、送り手はなんらかの志を託しているのでは?」と応えます。道長は「さすが行成だ、少し分かった。」

姉詮子(吉田羊)を内裏に訪ねた道長は、源明子(瀧内公美)を見かけます。彼女は、やがて父の仇である右大臣兼家の息子道長の妻(でも第二夫人)になります。

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道長は、姉に23日には内裏にいるようにという右大臣の伝言を伝えます。

そして道長は、3度目の正直、ラブレターを和歌では無く漢詩でまひろに送ります。

まひろは心動かされ逢瀬に使う廃屋で道長と会います。このシーンがトップの画像です。

道長は、右大臣家、藤原を捨てるから二人で遠くに逃れて暮らそうとまひろをかき口説きます。

しかしまひろは「あなたが偉くならないと、直秀のような理不尽な死に方をする人がいなくならない」と応えます。

まひろも道長への熱い想いを伝えます。「私は都であなたを見つめ続けます。誰よりも愛おしい道長様が、政によって、この国を変えてゆくさまを、死ぬまで見続けます。」

そして二人は合体。

いわゆる後朝(きぬぎぬ)に道長は「また会おう これで会えなくなるのは嫌だ」と言いますが、曖昧な表情で微笑むまひろ・・・。

たぶん二人のラブシーンはこの後はあまりドラマ上に登場しない気がします。ですからこれはかなり貴重なシーンです。

見逃した方は、「NHKプラス」か「NHKオンデマンド」でぜひご覧あれかし!

6月23日夜、右大臣家の一同は内裏の東宮御所、母詮子のもとに集まっています。

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丑の刻、女官の上着を被った花山天皇は道兼に導かれて御所を抜け出します。

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御所の外、用意された牛車に乗り寺に向かう花山天皇と道兼。

右大臣は御所の門全てを閉じさせます。道隆と道綱が神器(いわゆる三種の神器)を東宮の元に運び入れます。

道長は関白藤原頼忠(橋爪淳)の邸に馬を走らせます。

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道長は、関白に花山天皇が退位し東宮が践祚(せんそ)、つまり一条天皇に即位したことを伝えます。

剃髪した花山天皇(花山院)が道兼に「おまえの番だ」と言いますが、道兼は逃げ出します。花山院は騙されたコトに気付きますが、コト既に遅し。花山天皇の威を借りていた藤原義懐(高橋光臣)たちにも天皇の出家が伝えられました。史実では彼らもすぐに出家します。

剃髪しなかった道兼が一条天皇の蔵人頭になり先の花山天皇の蔵人一同は、職を解かれました。まひろの父為時もまた職を失ったのです。

第10回は、ここまでです。

実は986年に19歳で退位した花山院はその後1008年まで22年間生きます。そして母と娘二人に子を産ませたり、僧形とは思えないご活躍で歴史に残っています。

おそらくドラマでも描かれると思いますが、退位から10年後道長の政敵となった長兄道隆の子、藤原伊周は、故太政大臣藤原為光の娘三の君に通っています。

ところが同居する四の君に通っていた花山院を三の君に通っていると勘違いした伊周が弟の隆家と相談して花山院を襲うのです。

道長はこの事件を利用して政敵伊周・隆家兄弟を政治の中央から追放することに成功。権力を掌握します。

花山院、またしても宮中の権謀術数の道具にされてしまうのですね。

文:鉄道チャンネル住田至朗

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