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2024年5月25日土曜日 NHK総合 22時~【土曜ドラマ】パーセント(3)「私が私であるために」。

障害者が主人公ドラマ、撮影が始まります。 

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タイトルに書いた「戯画化」とは、健常者の戯画がテレビ局の演出家羽座丘(小松利昌)、一方の障害者は宮島ハル(和合由依)と劇団「S」の面々。羽座丘は「仕事なので障害者が出演するドラマを撮る」「しかしテレビを見る視聴者を気楽に楽しませるドラマを作る」というスタンスです。

これ、本来は吉澤未来(伊藤万理華)のテレビドラマ観でもあったハズです。 

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宮島ハルは「演じること」が「障害者である自分ではなくなること」と考えていましたが、それは所謂「モノローグ」であって、ドラマとは相手との「ダイアローグ」であることに気付きます。これは、全く吉澤にも当てはまることです。

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吉澤の恋人町田龍太郎(岡山天音)の書いた脚本は、羽座丘に「たたき台」として脚本の意図が無視されます。宮島ハルと劇団「S」団員の出番は減らされています。文句を言う町田に羽座丘は「やりたいことは自主映画でやれ」と宣告。町田龍太郎は、脚本から降りてしまいました。 

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吉澤は、ドラマが自分の企画から外れてゆくのに自分の意見が言えません。彼女は、自分の考えをまとめて言葉にすることができないのです。吉澤の些か幼稚な善意は、ドラマ初回からずっと空回りしています。

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さて、次回は最終回。

ドラマをハッピーエンドに持ち込む展開は、さほど難しくはないと思います。

宮島ハルと吉澤が本当の意味で「ダイアローグ」を始めることだからです。 

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そしてカリカチュアライズされた「障害者対健常者という戯画」は、素直な色彩を写す印象派の画布「素直で優しい共生」に変わるのでしょうか? 

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「障害」を「自意識のあり方」に矮小化してしまってはドラマの目指す「素直な共生」は難しい様な気がします。そこをどのように解決するのか?

楽しみです。

文:鉄道チャンネル住田至朗

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